赤ちゃん・子育て

こんにちは! 編集部のKママです。
赤ちゃんや小さなお子さんとの日々の中で、「絵本の読み聞かせ」について悩みや困りごとはありませんか?
「どんな絵本を選んだらいいの?」「読んでいても集中してくれない…」「時間がなくて毎日読み聞かせるのはむずかしい…」など、大人がストレスを感じることも少なくありません。
そこで、ママパパ885人に「絵本の読み聞かせで困っていること」を大調査!!
さらに、前回の「絵本は読み聞かせないとだめなの!?」に続いて、横山洋子先生にママパパの悩みや困りごとをズバリ解消していただきました。
885人のママパパ「絵本の読み聞かせの悩み」ベスト3!
885人のママパパたちに「絵本を読み聞かせるときの悩み」をたずねると
- 1位 読んでいても途中で中断してしまう
- 2位 良い本がどれかわからない
- 3位 その他
・本を破ってしまう
・力強く握りしめてシワクチャにする
・読む時間がない
・毎日「読んで」とせがまれるのが辛い
・まだ、絵本を読み聞かせていない ほか
という結果でした。
こんな行動をされると、読み聞かせが中断してしまう
1位の「読んでいる途中で中断してしまう」と答えたママパパに、具体的なケースを聞いてみました。すると、次のような行動があげられています。
- 読んでいる途中で「これ知ってる!」「これ見たことあるよ」と口をはさむ
- 読んでいるページ以外を指さす
- 本を叩く
- 本をかじったり、なめたりする
- 絵本の話に集中せず、他の方を向く
- 本を閉じようとする
- 途中でまったく別の遊びを始める
- 寝転んで「やだな〜」という雰囲気になる
- 絵を見ていても、全然別の話をし始める ほか
このような行動をされると、どうしても読み聞かせを続けられなくなってしまい、大人としては「せっかく絵本を読もうとしているのに……」と、がっかりすることも多いようです
読み聞かせをいつ中断しても大丈夫! 今、お子さんがやりたいことに寄り添って
ママパパは、お子さんが絵本に集中してくれないと、予定どおり進められなくて戸惑うかもしれません。
でも、乳幼児期はお子さんの“今やりたいこと”に合わせることがとても大切です。
たとえストーリーが飛んでも、途中で終わってもかまいません。
読み聞かせのゴールは、順番通りに進むことでも、最後まで読むことでもありません
この時期の絵本あそびのねらいは、順番通りに読み進めることよりや最後まで読み切ることでもありません。
大事なのは、お子さんのおしゃべりや、やりたいことに寄り添う親子のコミュニケーション!
お子さんの思いもよらない行動や言動に、ママやパパがあたたかく対応することがお子さんの成長につながります。
お子さんの自由な発想や行動を、そのまま受け止めよう
子どもが口をはさんでくるのは「これ、知ってるよ!」と伝えたい気持ちの表れですし、ほかの遊びを始めるのは「体を動かしたい!」「これをつくりたい」という欲求のサインかもしれません。
ですから、「うちの子は絵本が好きではない」と早合点せず、まずは、その気持ちに耳を傾けましょう。
途中で絵本を中断したがったら、お子さんと一緒に動き回ったり、散歩に出かけたりしましょう。また落ち着いたタイミングで「さっき、これ見たね」と、絵本を開けばOK! お子さんの自由な発想や行動を受け止めることで、その後の読書意欲も沸きやすくなります。
絵本の選び方がわからない。何を選んだら良いの?
「どの絵本を選べばいいのかわからない」というお悩みは多いですよね。
885人のママパパはどのように絵本をえらんでいるのでしょう。
前回の記事でママパパ855人に「どのような絵本を選んでいるのか」を聞いてみたところ
- 1位 年齢に合ったものを選ぶ
- 2位 プレゼントされたものを使う
- 3位 親が「いいな、かわいいな」と思ったものを選ぶ
という結果になりました。
この選び方は大きく外れていないと思います。
売れている絵本・人気のある絵本から始めよう
では、具体的にどんな絵本を選んだらいいのか、迷ったときはどうしたらいいのでしょうか。
手に取りやすいのは、やはり売れている絵本・人気のある絵本。
多くの人が「良かった」と感じた実績があり、子どもも興味を持ちやすい傾向があります。その本をお子さんと一緒に見て、興味を示したらそこからスタートすると良いですね。
たとえば、**Amazon絵本ランキング(2025年1月末時点)**を参考にするのも一案です。
Amazon絵本ランキングで 乳幼児向け絵本売行きの高いもの( 2025年1月末時点)を参考にするのも一案
『ぬりえ絵本 パンどろぼう』KADOKAWA (発行:2025/1/22)
大人気絵本『パンどろぼう』初のぬりえ絵本!おいしそうに塗るのもよし、まずそうに塗るのもよし。世界に一冊だけの『パンどろぼう』を作ることができます。
『きみのことが だいすき』パイインターナショナル (発行:2022/2/14)
つらいとき、心細いとき、いつもあなたの心にそっと寄りそってくれる、心あたたまる絵と言葉がつまったメッセージ絵本。親子で一緒に読んでほしいです。
『しましまぐるぐる』Gakken (発行:2009/4/1)
実際に赤ちゃんに何度もイラストを見せて、赤ちゃんの反応がしっかりある色・デザインを形した絵本。
『おなかのなかにおにがいる』ひさかたチャイルド (発行:1982/12/1)
季節の行事を伝える絵本は、その都度人気があります。日本の伝統文化を伝えるには、絵本がいちばんです。
ほかには、
年齢・発達段階に合った言葉や絵のレベルの本を選んでみよう
絵本選びに迷ったら「子どもが今一番興味を持っているもの」や「年齢・発達段階に合った言葉や絵のレベル」を意識すると取り組みやすいでしょう。
たとえば、2歳前後なら、身近な動物や乗り物が大きく描かれていたり、擬音語が多い絵本が人気です。
好きなものに関連するテーマ・ジャンルへつなげてみよう
いつも動物の絵本ばかりなら、大好きな動物が食べているものや生活習慣が描かれている作品を選び、「ぞうさん りんごがすきなのね」「まっかなりんご」「おいしそう」と、興味の対象に自然と関連したテーマの本にチャレンジしてみるのも良いですね。
「ぞうさんの すきなもの」から食べもののひみつなどに広がっていくかもしれません。
図書館の司書さんや書店員さんにたずねよう
図書館の司書や書店の店員など“絵本の目利き”に相談してみるのはおすすめです。
司書さんは、本のプロフェッショナルなのでよろこんで相談にのってくれますし、仲良くなると良い情報を得られるかもしれません。
お子さんと一緒に書店へ行き、実際に手にとってお子さんが反応を示すかどうかを見るのも判断材料になります。
同じ絵本を何度も持って来るので、困ってしまう
お子さんが同じ絵本を何度も持ってくること、ありませんか?
「もっといろんな絵本にふれてほしいのに……」と思いつつ、大人は飽きて、つい疲れを感じることもありますよね。
でもこれ、困ることではなく成長のよろこばしいサインです!
同じ絵本をくり返し読みたがるのは、未来を予測する力が育っているから
お子さんが同じ絵本を何度も読んでほしいとせがむのは、言語力や理解力や、未来を予測する力が身についてきた証拠といわれます。
幼い子どもたちは、目の前のことしか理解できませんが、絵本をくり返し読むことで「次に何が起こるか」をおぼえ、自分なりに先を見通せるようになると安心感を得ます。
有名な時代劇「この紋所が目に入らぬか!」の決めゼリフで、毎回わくわくして拍手してしまう、あの心理と同じような感覚でしょう。
大人は、「あ、またこの本か…」と飽きがちですが、お子さんにとっては大切な学習の機会でもあります。
同じ絵本を持ってきたら
「お気に入りの一冊ができたんだね」「ここが、大好きなんだね」と、お子さんの気持ちを受け止めましょう。何度もくり返すうちに、ソラで語れるようになり語彙力も身につきます。
また、その本から発展して似たテーマの別の絵本にも興味を持ちやすくなりますよ。
次に選ぶ絵本は、どう選んだらいい?
お子さんが何度も「読んで〜」と持ってくる絵本や、興味を示す絵本がわかったら、次は、お子さんが興味を示したテーマやジャンルに関連するテーマに寄り添って選びましょう。
お子さんが気に入った絵本に似たものをチョイス
たとえば、動物好きのお子さんの次なる絵本なら、好きな動物の生活習慣や食べ物が登場する絵本を。乗り物好きのお子さんには、電車やバスが擬人化したストーリーや乗り物が走る街や山、海などの様子がわかる絵本など、関連するものを探してみましょう。
さらに、ここでも図書館で司書さんに相談したり、書店で実際に子どもと一緒に手にとって反応を見たりするのもおすすめです。
このように、興味のある絵本をつなげていくことで、お子さんの「好き」がどんどん広がり、その分野が得意になっていきます。
好きなジャンルが増えることで「もっと読みたい!」という気持ちが育まれ、自然と絵本が好きな子に育っていくでしょう。
絵本を破ったりシワくちゃにして読めなくなってしまう
「絵本を破る」「強く握ってシワにする」……こんなお悩みもよくあります。
乳幼児は手先の力加減や指先の使い方を学ぶ最中です。興味を持ってめくっているうちに、誤って破ってしまうこともよくあります。
まだ言葉がうまく話せないお子さんにとって、絵本を破ったり、なめたりする行動は「楽しい」気持ちの表れのひとつ。
「紙を破ると音がする」「面白い感触がある」など。もちろん「破る行為」を楽しんでいる場合もありますが、触れて、感じて楽しみ味わっているのです。
絵本は消耗品。クタクタになるのは愛された証拠
それに、破いたり、なめたりした絵本は、家族にとって良い思い出になります。
「はじめて破った日」や「なめてヨレヨレになった日」などを記録しておくと、成長の証として残すことができますよ。お子さんが大きくなったとき、きっと笑顔で振り返ることができるでしょう。
破れるリスクを減らすために、丈夫な素材の絵本を取り入れるのも選択肢です。たとえば、布絵本やお風呂で読める絵本を試してみてもいいですね。
基本的に絵本は消耗品。クタクタになるのは愛された証拠です。絵本を通じて、親子の楽しい時間を大切にしてください。
絵本の読み聞かせをする時間をなかなかつくれない
育児に家事に仕事にと、毎日忙しいママやパパ。そんななかで「毎日読み聞かせをしなきゃ」「言葉や物事への理解を身につけさせなくちゃ」と思っていませんか?
絵本は、毎日かならず読まなくてもいい
安心してください。絵本の読み聞かせは、毎日かならずやらなくてはいけないものではありません。
大切なのは、ママパパが無理せず、お子さんの興味が向いたときにゆっくり楽しんで読み聞かせること。それだけで十分、素敵な親子時間になります。
また、絵本を開かなくても、今日あったできごとをお子さんと話すだけでも、心が通い合う大切な時間となります。ですから、「〜しなくちゃ、いけない」と思い込まないでくださいね。
お子さんが一生懸命に話す姿を見るだけでも、親はとってもしあわせになれます。
まとめ
ママパパたちの「読み聞かせの疑問と気になること」にズバリお答えします!
Q. 読んでいても途中で中断してしまう
乳幼児期は、順番通りに読み聞かせをすることよりも、お子さんのおしゃべりややりたいことに寄り添うほうが大切です。
Q.絵本の選び方がわからないんです。何を選ぶと良いですか?
まず、人気のある絵本を選んでみましょう。多くのママやパパが「選んでよかった!」と感じた絵本にお子さんが興味を示したら、そこからスタートしてみるといいですよ。
Q.同じ絵本を何度も読んで、と持って来るので困る
同じ絵本を何度も読んでほしいとせがむのは、未来を予測する力が身についてきた証拠です。お子さんの成長を間近で感じながら、結末を何度も一緒に楽しみましょう。
Q.次に選ぶ絵本は何を選んだらいいの?
お子さんが興味を示す絵本が見つかったら、次に選ぶ絵本は似たテーマやテイストのものをチョイスしてみましょう。そこからお子さんの「好き」がどんどん広がっていきます。
Q.絵本を破ったりシワくちゃにして読めなくなる
まだ言葉がうまく話せないお子さんにとって、絵本を破ったり、なめたりする行動は「楽しい」の気持ちの表れで、興味をもったことになります。また、絵本は消耗品です。クタクタになるのは、それだけ愛された証拠です。
Q.絵本の読み聞かせをする時間がなかなかつくれない
大切なのは、ママパパが無理せず、お子さんの興味が向いたときにゆっくり読み聞かせること。それだけで十分、素敵な親子時間になります。
■お話を聞いた先生:横山洋子教授
千葉経済大学短期大学部こども学科学科長
幼児教育学・ことば・保育などの専門家で、月刊保育えほんの監修や劇あそび、言葉あそびの著書も数多く手がけています。
※アンケート概要/対象:親育子育ラボがbabyco会員に向けメールマガジンで実施、期間:2024年12月、N=885(0歳〜5歳の子どもを持つ親)
■参考文献・参考資料(一部):American Academy of Pediatrics(AAP): “Reading regularly with young children stimulates optimal patterns of brain development…”
Mol, S. E. & Bus, A. G. (2008). Review of Educational Research, 78(1), 179–201.
『保育者のための絵本ガイド』(ひかりのくに)
『子どもの心を育む読み聞かせ入門』(萌文書林)
アンケート調査:親育子育ラボ×babyco(2024年12月実施)ほか