赤ちゃん・子育て

こんにちは! 自分が便秘なので「赤ちゃんも便秘だったらとっても苦しいのではないか?」と、赤ちゃんの便秘にはとっても敏感な編集部Jです!
赤ちゃんの便秘に悩んでいるママ・パパのために、今回は助産師の坂田清美先生にお話をうかがいました。現在大学教員として 助産師・看護師の育成をなさっていますが、3人の子育てを経験された先輩ママでもあります。
先生による「もしかしたらそれは便秘とは違うかも?」という衝撃的なお話から迫ります!
うんちが出ないのに便秘ではない」とはどういうことなんでしょう?
便秘かそうでないかによって、対策も異なってくるのだそう!
知ってる? 便秘と排便困難症の違い
確かにうんちが毎日出ないと心配になりますよね。
そもそも「便秘」とはどういう定義かご存知でしょうか。
- 排便の頻度が週3回未満または5日以上ない
- 便がかたい
- 排便をするときに痛がる(痛そうにしている)
- 肛門が切れて血便がでる
といった症状がみられると便秘、すなわち便秘症です。
「週3回未満、または5日以上ない」と聞いて驚きませんか?
赤ちゃんの排便回数は月齢や個人差が大きいので一概にはいえませんが、毎日排便しないからといって、必ずしも便秘とは限らないんです。
もちろん月齢などによって授乳のたびにうんちをする赤ちゃんもいますが、毎日出るか否かよりも、日頃と赤ちゃんの様子がどう違うかの方が大切なんですよ。
便秘症と間違えやすい症状に「排便困難症」があります。
便が出ない状態ですから大きく便秘の一種ととらえても間違いではないのですが、原因が異なるので、対処も違います。
せっかくの機会ですから「排便困難症」についても知って、ママ&パパには正しく対処してもらえたらと思います!
排便困難症の特徴は次の通りです。
- 便はかたくないのに出せない
- 上手にいきめない
比べてみると、頻度が少なく便がかたいことにともなうのが便秘、かたくなくてもうまく出せないのが排便困難症ということがわかりますね。
それぞれの原因は?
赤ちゃんの「便秘」と「排便困難症」の原因について深掘りしてみましょう。
医学的に厳密なことではなく、ママ&パパに知っておいてもらいたいことをお伝えしますね。
0歳児の便秘の原因
腸の働きや生活習慣に起因するものが多いのが便秘です。
原因の種類 | 具体的な内容 |
授乳・食事 | ミルクの影響、水分摂取不足、食物繊維不足 |
生活習慣 | 運動不足、授乳回数の減少、睡眠不足、離乳食開始 |
腸の働きの低下 | 腸が未発達、腸内環境の乱れ(腸内細菌のバランス異常) |
赤ちゃんの便秘は、母乳・ミルクや水分の不足、離乳食後の食物繊維不足で便がかたくなること、ガスが溜まること(ガス腹)で起こります。
排便回数や便の硬さは個人差がありますが、月齢によっても徐々に変化がみられます。離乳食スタートなどがきっかけになることもあります。
まれに、過去の便秘の痛みから排便に対して「痛くてやだな」とがまんしてしまうケースもあるので、そうならないように日頃から便秘対策をしてあげてくださいね。
生後6ヶ月未満に多い排便困難症の原因
うんちを出すには、おしりの穴は緩めて、腹緊には力を入れてという反対のことを同時にしています。その筋肉の動かし方がまだうまくできない赤ちゃんもいます。
原因の種類 | 具体的な内容 |
筋肉や神経伝達の発達 | 力の入れ方が分からない、筋肉の協調性が未熟 |
便秘にしろ、排便困難症にしろ、大切なのは赤ちゃんの機嫌がよく具合が悪そうにしていないこと。
次は赤ちゃんのどんな様子をチェックしたらいいかをご紹介しましょう!
赤ちゃんのうんちが心配! 赤信号チェック項目
便秘や排便困難症かな? と気になったら、以下の項目をチェックしてみましょう!
うんちの間隔とかたさをチェック
□ 最後にうんちが出てから何日経ったかな?
□ うんちのかたさはどうかな?
□ 切れ痔の血がついていないかな?
具体的に記録しておくと、お医者さんに相談する際に役立ちます。
排便時の様子を観察
□ 痛がったり、苦しそうにしていないかな?
□ 顔を真っ赤にして力んでないかな?
生後6ヶ月未満の排便困難症の場合は顔に力を入れながらいきむこともありますが、うんちがやわらかいなら成長とともに上手にいきめるようになります。
普段の様子をチェック
□ 普段と比べて機嫌はどうかな?
□ ぐずることが多いみたい?
□ 母乳やミルクの飲みが悪くなった
□ 吐き戻しが多い
□ 体重が増えない(減っている)かも?
おなかが張って苦しかったり不快感を感じたりすると機嫌が悪くなることがありますし、便秘が長引くと食欲不振につながり体重の減少につながることもあります。
便秘の場合のホームケア5つの方法
授乳や食生活、生活習慣による腸の働きなどが原因の便秘におすすめの対処法です。
ぜひ取り入れてみてくださいね。
しっかり水分をとる
赤ちゃんが十分な水分をとれるようにしましょう。
母乳やミルクのほか離乳食期には白湯や麦茶を与えるのもいいですね。
「の」の字マッサージをしてみる
ママ&パパも子どもの頃にやったことがあるのでは?
赤ちゃんを仰向けに寝かせ、おへそを中心に「の」の字を書くようにやさしくマッサージしてみましょう。腸の動きを促し、便通を改善する効果が期待できますよ。
適度な運動あそびをしよう
手足をバタバタさせたり、体を軽く動かしたりするだけでも、腸の刺激になります。からだを使ったあそびを取り入れてみましょう。
例えば、写真のように脚を曲げて・伸ばしてを数回繰り返すと腸が刺激されますよ。ゆっくりやさしく、を心がけてくださいね。歌ったり、声がけをしながら行うとなおいいですね。
※股関節脱臼にならないように、無理に引っ張ったりしないように気をつけましょう。
離乳食を見直そう!
離乳食が始まっている場合は、食物繊維を多く含む食材(さつまいも、ほうれん草、バナナなど)を積極的に取り入れてみましょう。
ただし、急にたくさん与えると下痢の原因になることもあるので、様子を見ながら量を調整していきましょう。
綿棒で刺激をしてみる
ワセリンを塗った綿棒を肛門に約1cmほど挿入し、やさしく回すように刺激します。
*綿棒にはあらかじめ先端から1cm、2cmの部位にマジックで印をつけておくと深く差しすぎません。
*ベビーオイルだと綿棒が吸ってしまうので、ワセリンがおすすめです。
*ベビー用の綿棒はNGです。通常サイズの綿棒を使いましょう。
排便困難症でもケアできることはある?
筋力の不足やいきみ方の習得中であることが主な原因でも、ママ&パパが赤ちゃんをサポートしてあげられる予防策がありますよ。
便秘とはちょっと違ったアプローチもありますので、チェックしてみてくださいね。
タイミングを見極めよう
赤ちゃんが便意を示しているサイン(いきみ、顔を赤くする、落ち着かないなど)を見逃さないようにしましょう。
「うんちがしたそうだな」と感じたら、赤ちゃんが楽な体勢で排便できるようにサポートしてあげましょう。
仰向けになっているとき: 赤ちゃんの足を軽く持ち上げ、お腹に力が入りやすいようにします。
抱っこをしているとき: 赤ちゃんを縦抱きにし、お腹を軽く圧迫するように支えます。
トイレトレーニング中の場合: 足が床につくように補助便座や踏み台を使用し、無理のない体勢で座らせます。足がブラブラしているよりも、床についている方が上手にふんばれます。
いずれの場合も、赤ちゃんがいきんで頑張っているときに「そうそう『う~ん』ってしてごらん」など声をかけてあげるといいですよ。
リラックスできる環境を作ろう
お風呂上がりのオムツをはく前に、赤ちゃんにおしっこをされたことはありませんか?「せっかくお風呂に入ったのに!!」と驚いたかもしれませんが、
温かいお風呂に入れた後や、授乳後など、リラックスしている状態のときはうんちもしやすくなりますよ。
赤ちゃんがリラックスできる環境づくりを心がけてみましょう。
逆に無理強いすると、赤ちゃんが排便を嫌がるようになることがあります。焦らず、赤ちゃんのペースに合わせて見守りましょう。
ほかに、便秘ケアと同じく
も効果的ですよ。あわせてやってみましょう。
医療機関へ行く目安は?
便秘の症状が続く場合や排便時に出血が見られる場合などは、自己判断をせずにかかりつけの医師に相談をしましょう。
症状にあわせて浣腸や便をやわらかくする薬を処方してもらえます。
特に、
・お腹がパンパンに張っていて触るとソーセージ状のしこりがある
・毎回綿棒で刺激をしないと便がでない
・母乳を飲みたがらない、吐き戻しが続く
・血が混じったうんちがでた
といった場合はすみやかに受診しましょう。
排便困難症は、基本的には成長とともに自然に改善していくことが多いので便秘ほど心配することはありません。
それでも症状が重い場合や、ほかの病気が疑われる場合は、医療機関を受診しましょう。
排便の習慣づけや生活リズムの改善など、改善できるポイントをアドバイスしてもらえたり、症状にあわせた対処をしてもらえるでしょう。
うんちがでなくても心配しすぎず無理強いしない!正しい知識で適切なケアを
赤ちゃんの便秘や排便困難症は、ママ・パパにとって大きな心配事のひとつです。
今回の記事では、助産師の坂田先生のお話をもとに、便秘と排便困難の違い、それぞれの原因とケア方法、そして医療機関を受診する目安についてご紹介しました。
赤ちゃんの便秘の原因は月齢や成長の経過によって変化することもあります。
例えば
・母乳とミルクの割合が変わった
・離乳食をはじめた
・引っ越しや保育園入園などの環境や生活に変化があった
といったことが原因になることもありますし、少しずつ体力がつくことで改善されることもあります。
うんちは健康のバロメーターです。個人差があることだからこそ、ママ&パパの観察が赤ちゃんの健康を守りますよ。
うんちのケアは大変なこともあるかもしれませんが、赤ちゃんの赤信号を見逃さないようにしてくださいね。応援しています!
■監修
坂田清美先生
看護師 助産師 救急救命士 帝京平成大学 ヒューマンケア学部看護学科 准教授。
看護師として2年間手術室で働いたのち進学し助産師免許取得。大学病院、個人病院、助産院と20年間助産師として2000を超える出産に立ち会う。さらに地域の保健センターで乳幼児健診・新生児訪問を通し、数多くの子育てママをサポートする。現在は大学教員として、助産師・看護師の育成に力を注ぐ。2男1女の母でもある。