赤ちゃん・子育て
「母乳が出にくい」「仕事に復帰する」など、赤ちゃんに粉ミルクをあげる理由はさまざまですよね。でも、いざミルクを選ぼうとすると、その種類の多さに驚く方も多いのではないでしょうか。
この記事では、はじめての赤ちゃん用の粉ミルクについて、その種類や特徴、成分、そして具体的な選び方までを詳しく解説します。赤ちゃんにとって最適なミルクをみつけて、日々の育児に役立ててくださいね。
粉ミルクの種類とそれぞれの特徴

粉ミルクは、母乳の代わりです。
母乳が足りないときや、母乳育児を続けるのが難しいときに、母乳の代わりに赤ちゃんの成長をしっかり支えてくれるのが粉ミルクの役割りです。
赤ちゃんにとって一番の栄養は母乳ですが、「母乳が足りていないかも…」「母乳が出ない…」と一人で悩みをかかえる必要はありません。
8割近くのママたちが母乳についての悩みをかかえ、約7割のママたちがミルクを活用しているアンケート結果もありますよ。
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母乳が出ない!! 【426人アンケート】先輩ママたちがその時していたことは?みんなの体験談と乗り越え方
粉ミルクは、大きく分けて以下の3種類があります。
・乳児用調製粉乳(育児用ミルク)
・フォローアップミルク
・特定の状況で使用される医療用ミルク(特殊ミルク)
それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
乳児用調製粉乳(育児用ミルク)

【どんな赤ちゃんに?】生後0ヵ月から1歳ごろまでの赤ちゃんが対象です。
粉ミルクといえば、一般的にはこの乳児用調製粉乳をさします。
赤ちゃんの成長に必要な栄養素がバランスよく含まれていて、母乳に近い成分組成を目指して作られています。 母乳の代替として、または母乳と併用して使用できます。
厚生労働省が定める基準を満たし、国が認めた製品には「特別用途食品」の許可マークが付いています。
「特別用途食品」ってなに?
「特別用途食品」とは、乳児の発育や、妊産婦、病者などの健康の保持・回復に適するという、特別な用途について表示を許可された食品のことです。消費者庁長官の許可が必要であり、その表示には厳しい基準が設けられています。
乳児用調製粉乳は、この特別用途食品の一つであり、「乳児用調製粉乳」としての表示許可を受けています。これは、「母乳の代替食品として使用できる」ことが、医学的・栄養学的な見地から認められていることを意味します。
製品パッケージには、「特別用途食品」のマークと「乳児用食品」の表示がされています。このマークがあることで、国が定めた基準をクリアした、赤ちゃんにとって安全で適切な栄養補給ができるミルクであることを確認できます。
どんなマークなの?
消費者庁「特別用途食品について」
参考:内閣府「乳児用食品の規格が適用される食品に対する表示」
フォローアップミルク
【どんな赤ちゃんに?】メーカーにより異なりますが、生後9ヵ月や1歳ごろから3歳ごろまでの乳幼児が対象です。
最大の特徴は、乳児用調製粉乳とは違って母乳の代替品ではないことです。
離乳食が中心になる時期に、不足しがちな鉄分やカルシウムなどを補給するために作られています。
離乳食が十分に食べられている場合は必ずしも必要ではありませんが、栄養補助として活用できます。

医療用ミルク(特殊ミルク)
【どんな赤ちゃんに?】医師の指導のもと必要とする赤ちゃんのためのミルクです。
ここでいう「医療用ミルク(特殊ミルク)」とは、特定の健康状態にある赤ちゃんや、アレルギーをもつ赤ちゃんのために、医師の管理下で用いられるミルクの総称です。
一般的な「乳児用調製粉乳」とは異なり、医療機関を通じて提供される医療用食品としての側面が強いです。
使用するときは医師の指導のもとと考えましょう。
医療用ミルクにはどんな種類があるの?
アレルギー用ミルク: 牛乳アレルギーの赤ちゃんのために、牛乳のたんぱく質を消化しやすい形に分解したり、アレルギーを起こしにくい成分に置き換えたりしたミルクです。
低出生体重児用ミルク: 未熟児や低出生体重で生まれた赤ちゃんのために、より多くのカロリーや栄養素を摂取できるよう調整されたミルクです。
無乳糖ミルク: 乳糖不耐症など、乳糖を消化できない赤ちゃんのために、乳糖を含まないように作られたミルクです。
その他: 特定の先天性代謝異常に対応するミルクなどもあります。
赤ちゃん用粉ミルクの選び方【3つの基本ポイント】

種類がわかったところで、具体的な選び方をみていきましょう。
月齢に合わせる
もっとも基本的なことですが、赤ちゃんの月齢に合ったミルクを選ぶことが重要です。
- 新生児〜1歳頃:乳児用調製粉乳(育児用ミルク)
- 生後9ヶ月〜3歳頃: フォローアップミルク
妊娠中に出産準備品として粉ミルクを購入するなら、まずは「乳児用調製粉乳(育児用ミルク)」から選びましょう。
母乳育児の予定でも、産後すぐに母乳が軌道にのらないこともありますし、ママが薬を服用する必要があって母乳をあげられなかったりと、どんな状況が待ち受けているかわかりませんから、備えておくと安心です。
どんなメーカーのものでも「特別用途食品」マークがついているものなら母乳に近いことを目指していますが、この時期の赤ちゃんはミルクが主食なので、適切な栄養バランスが非常に重要なので、成分についてもしっておきましょう。後半でご紹介していきますね。
フォローアップミルクは離乳食の進み具合によって検討します。
離乳食で十分な栄養が摂れている場合は必ずしも必要ではありませんが、食べムラがある時や、鉄分などが不足しがちな場合に役立ちます。
赤ちゃんの体質や健康状況に合わせる
粉ミルクはいろいろなメーカーから販売されていますが、実際に飲ませてみると赤ちゃんとミルクとの相性を感じているママ・パパも少なくありません。
例えば、うんちへの影響も少なからずあります。
「便秘や下痢の症状が、ミルクを変えてみたら変わったみたいだ」というママの声もあるほどです。
また、アレルギーや特定の疾患がある場合は、必ず医師や管理栄養士に相談し、適切な医療用ミルク(特殊ミルク)を選んでもらいましょう。
自己判断でこれらのミルクを選ぶのは避け、専門家のアドバイスに従うことが大切です。赤ちゃんの健康に関わることなので、慎重に判断しましょう。
使いやすさを考慮する
毎日の育児で使うものなので、使いやすさも重要なポイントです。

【タイプ】スティックタイプや液体ミルクまで!
缶入り粉ミルク:一般的で、容量が多く、グラムあたりのコストが比較的経済的な場合が多いです。自宅での日常使いに最適です。開封後は湿気に注意し、清潔に保管しましょう。
スティックタイプ・キューブタイプ:1回分ずつになっているので、計量の手間がなく使いやすいのが特徴です。持ち運びにも便利なので、外出時や旅行先、夜間の急な授乳時などに重宝します。ただし、缶タイプに比べて割高になる傾向があります。
液体ミルク:調乳の必要がなく、温めずにそのまま飲ませられる手軽さが最大の魅力です。アタッチメントの乳首をつけてそのまま飲むこともできます。
ほかのタイプよりコストが高めですが、夜間授乳や、災害時、急な外出時など、時間がないときに便利です。長期保存が可能で、常温保存できるため、非常用としてもすぐれています。
【溶解性】調乳が負担にならないように

調乳は意外と時間がかかり、ママ・パパの育児の負担になることも。
ですからお湯に溶けやすいかどうかも大切なポイントです。
素早く溶けるミルクは、赤ちゃんが泣いてすぐに欲しがるときや、夜間の授乳時に便利です。溶け残りがあると、哺乳瓶の乳首が詰まってしまうこともあります。
「溶けやすい 粉ミルク」などと検索してみるのもおすすめです。
また、粉ミルクは作り置きはできません。
ミルクを与える際の注意点は、こちらの記事でご紹介しています。
知っておきたい粉ミルクの主要成分

粉ミルクは、母乳に近い味や成分を目指して作られていて、赤ちゃんの健やかな成長に必要なさまざまな栄養素をバランスよく含んでいます。
普段聞き慣れない成分名もあるかもしれませんが、赤ちゃんが口にする大切なものですから、どんな栄養素が含まれているのか成分表をチェックしてみるのがおすすめです。
代表的な成分とその働きをまとめましたので、参考にしてくださいね。
炭水化物:赤ちゃんのエネルギー源となります。主に乳糖が使用されています。
脂質:エネルギー源としてだけでなく、脳の発達にも重要な役割を果たします。DHA(ドコサヘキサエン酸)やARA(アラキドン酸)など、母乳にも含まれる不飽和脂肪酸が配合されているものもあります。
たんぱく質:体の組織を作るために不可欠です。牛乳たんぱく質を主成分としているものがほとんどですが、アレルギー対応のミルクでは、たんぱく質が加水分解されていたり、大豆たんぱく質が使用されていたりすることもあります。
ビタミン・ミネラル:骨や歯の形成、血液の健康維持など、さまざまな体の機能に欠かせません。鉄分、カルシウム、ビタミンDなどがバランス良く配合されています。
オリゴ糖:腸内の善玉菌を増やし、おなかの健康をサポートします。
ヌクレオチド:免疫機能の向上や腸の成長に役立つといわれています。
ラクトフェリン:母乳にも含まれるたんぱく質で、免疫力向上や抗菌作用が期待されます。
成分が多く含まれていればよいということでもありません。
赤ちゃんは消化機能も成長段階なので、例えば塩分量が少ないものなど、消化に負担をかけないことも大切なポイントです。
\具体的数値はこちらでチェック/
参考:厚生労働省「母乳及び乳児用調製粉乳の成分組成と表示の許可基準」
ミルクに関するよくある質問

Q. どのメーカーのミルクを選んでも大丈夫?
A.はい。
国内で販売されている乳児用調製粉乳は、国の基準(「乳および乳製品の成分規格等に関する省令」など)を満たしているので、赤ちゃんの成長に必要な栄養が十分に含まれています。どのメーカーを選んでも、基本的には問題ありません。
メーカーごとに味や溶けやすさに若干の違いがあるため、赤ちゃんが特定のミルクを嫌がる場合は、いくつか試してみて、赤ちゃんがよく飲んでくれるものをみつけるのがおすすめです。
Q. ミルクのブランドを途中で変えてもいい?
A.問題ありません。
赤ちゃんが特定のミルクを嫌がる、体質に合わないと感じるなどの場合は、ほかのブランドのミルクを試してみるのもいいでしょう。
ただし、急な変更で赤ちゃんのお腹の調子が変わることもあるので、少量ずつ試しながら様子をみるのがおすすめです。数日かけて徐々に切り替えるようにすると、赤ちゃんも慣れてくれやすいですよ。
Q. 粉ミルクの飲み残しは再利用できる?作り置きはしてもいい?
A.飲み残しは、衛生上の問題から再利用できません。
一度口をつけたミルクには雑菌が繁殖しやすいため、残った分はもったいないと感じても捨てましょう。
また、粉ミルクの作り置きも推奨されていません。調乳したミルクは、時間の経過とともに雑菌が増殖する可能性があるため、授乳直前に作り、2時間以内に飲み切るのが原則です。
夜間の授乳に備えて、お湯と粉ミルクを分けて用意しておくなど工夫しましょう。
まとめ

赤ちゃんにとって粉ミルクは、成長を支える大切な栄養源です。たくさん種類があって迷ってしまうかもしれませんが、赤ちゃんの月齢や体質、そしてご家庭の状況に合わせて選ぶのがポイントです。
もしミルク選びで不安なことがあれば、かかりつけの小児科医や助産師、管理栄養士に相談してみましょう。
専門家のアドバイスも参考にしながら、赤ちゃんにとって最適なミルクをみつけて、楽しく育児を進めてくださいね。